「あなた方は、恋神様にお会いできたんですね。とても運が宜しいみたいで」

「えっ?!恋神様?」



私達はビックリ仰天すると、ポカンと口を開けて互いの顔を見合わせた。



「えぇ。私は代々から語り継がれて知る程度です。どうやら、大概の方はお目見え出来ないとか。たまに見える方がいらっしゃると聞いております」

「代々って……。何言ってるんですか?…だって、あそこはおじいさんちじゃないんですか?私達は小学生の頃に宿題をする為に、何度かお邪魔した事があるんです!」



と、ムキになった私が堂々と指差した先…。

そこは、一般の民家ではなくて《恋神公民館》と看板に書かれている。



「あ、あれ?うそっ…。よく見ると…家じゃ……ない」



公民館の看板を見た私達は、二人同時に呆然とした。


幼い頃は毎日のように遊びに来ていたのに、二人ともおじいさんちだと思っていた場所が公民館だという事に気付かなかった。