彼は唇を離すと恋する瞳で言った。



「俺は『世界一愛里紗を愛してる』って、その隣に書き加えるよ」

「じゃあ、私も負けないくらいいっぱい『愛してる』って書く」


「ははっ……。長かったな。お前が待つ時間と、お互いの気持ちが繋がる瞬間が」

「うん、長かったね。でも、こうやって会いに来てくれたからもう寂しくないよ」


「これからは、日記に会いたいと書き綴ってあった回数以上会いに来る。これまで泣いていた時間は、絶やす事のない笑顔の時間に変えていくから」

「うん」


「あ!そうだ」



彼は急に何かを思い出したようにポケットに手を入れると、ゴソゴソと何かを探って手に取り出した。

そして、その何かが私の顔の前で振り子のように左右にぶら下がる。