パタン…
読み始めてから数十分後。
彼は読み終えた恋日記を閉じると私を見つめて言った。
「日記の最後のページ…」
「実はさっき家を出る前に書いたばかり。それを書いた時はまさか翔くんに見せる事になるなんて思ってもいなかった。…でもね、実は最終ページに追記があるよ」
「えっ、どこに?裏表紙に書いてある内容が最後だと思ったけど……」
彼はそう言うと、日記帳を裏にひっくり返したり、裏表紙をめくったりして確認をする。
「実はまだ書いてないの。今から追記をする場所は翔くんの心の中。そこに書いてある言葉だけじゃ足りなくなったから書き足そうと思ったの」
「へぇ、何て書こうと思ったの?」
「『ホントは日記に書いた言葉以上に愛してる』ってね。……そしたら、翔くんの心は何て答えてくれるかな」
「…知りたい?」
「うん!知りた……」
…と、言いかけていたその時。
彼は私の後頭部を手で包み込んで唇を合わせた。
三年ぶりに重なり合った唇。
私は彼の香りに包まれながら愛おしさに溺れていく……。
彼はいつも心の準備をさせてくれない。
だから、私の心臓はドキドキし過ぎて壊れそうになる。