懐かしさに思い浸りながら本殿の軒下に腰を下ろして、右中指にからめた思い出のピンクのイルカのストラップと、翔くんがいない間に書き綴っていた恋日記を胸に抱きしめながら、周りの景色を見上げて彼を想う。




翔くんと出会ってから今日まで色んな事があった。
新しい出会いがあったり、辛い別れがあったり、待ちくたびれたり。


泣いたり。
笑ったり。
怒ったり。
悲しかったり。


輝かしい反面、感情の起伏が激しい毎日は幸せな思い出だけじゃなくて苦い思い出も抱き合わせだった。



でも、物は考えようで苦境を乗り越えてこそ強くなれる自分もいた。

都合が悪くなるとすぐ逃げ出しちゃうような悪いクセを持つ自分は、もうここにはいない。


翔くんと別れて変わろうと思い始めたあの日から、私は何事にも勇敢に立ち向かえるようになった。
そして、後ろ向きな気持ちを前に向けられるように…。