ーー雲の隙間から差し込む日差しが徐々に強くなって、日中は半袖一枚で過ごす日が増えつつある、大学三年生になってから一ヶ月経ったある日。


今朝、夢を見た。
内容は、転校直後に訪れた神社でクラスメイトの翔くんに初めて声をかけてもらった時のこと。



過去の夢を見たら、久しぶりに胸がドキドキした。
翔くんへの恋心は未だに健在だから。



夢を見たら神社に行きたい衝動に駆られた。
それが何故だかわからない。
でも、今日出向かなければ後に後悔しそうなほど胸騒ぎがした。

だから、身支度をしてから久しぶりに向かう。





前回神社に訪れたのは、去年のお祭りの日。

その時は大学が夏休みに入ったばかりで、地方から一時的に帰省していた咲がちょうど家に泊まりに来ていたから、二人で一緒にお祭りに行った。

神社は目と鼻の先であっても、なかなか来る機会がない。
ここへ来るのはおよそ一年ぶりのこと。




今日は五月二十日。
天気は快晴。

最近、日差しが強いから外出時には日傘か帽子が欠かせない。
今日は日焼け止めを大量に塗った。



ーー八年前。

この街に転校して来たばかりの私は、この場所で同じクラスの翔くんに出会って、初めて会話を交わした。


あの日が私達の恋のスタート地点だった。


それがまさか数年に渡るほど長く引きずる恋になるなんて思いもしなかった。
出会った時は最高に嬉しかったけど、別れた時は人生のドン底に叩き落されるくらい悲しかった。