私達二人はなかなか次の言葉が見つからない。
肩を並べてベンチに座っているだけ。
荒れ狂う感情と葛藤している自分達とは対照的に、月夜は粛々と夜空を彩っている。

先に沈黙を破ったのは理玖の方。



「俺達…、もうダメなん?」

「…………んっ」



愛里紗は首を軽く縦に二回頷かせて、精一杯の想いを伝えた。



「理玖と付き合い始めてから本当に幸せだった。会えばお腹を抱えるくらい笑わせてくれるから楽しくて、迷惑かけても寛大に許してくれて、落ち込んでいる時はそっとしておいてくれて、辛い時は元気づけてくれて、そんな理玖と一緒にいる事が心地よくて。


こうやって久しぶりに会いに来ても文句一つすら言わない。理玖なら何でも許してくれるだろうって、優しさに甘えてる自分がそこにいた。


その一方で、理玖を大事にしようって思えば思うほど上手くいかなくて。頭ではわかっているのに、気づけば距離を置き始めてて。


理玖に恋すれば幸せだった。友達や家族にも応援してもらえるし、笑顔を絶やさぬ毎日を送れたと思う。


……でも、それが叶わなかった。努力だけじゃ実らなかった。……だから、ごめんなさい」



今すぐにでもこの場から逃げ出したいほど胸が苦しい。
でも、理玖は私以上に遣る瀬無い気持ちを抱えているだろう。


理玖が傷付く事はわかってるけど、これ以上傷付けない為にはいま別れを決断しなければならなかった。


すると、理玖は言った。