理玖は切ない眼差しで愛里紗を見るが、愛里紗は現実から目を背けるかのように目線を膝元に落として、スカートをギュッと握りしめた。



私達二人の間の空気はより一層最悪な状態に。
今日の為に準備してきた言葉も最悪。
それを、理玖の前で口にした私自身も最悪だ。



「こんな事は聞きたくないけど………。ごめんって事は俺と別れたいって意味?」



確認の意味で聞き返してきた理玖に返事をするのが怖かった。
でも、今日は向き合う覚悟をしてきたからコクンと頷く。



「うん…」

「もしかして、別れる理由はあいつと一緒になるから?」


「それは違う。彼とはもうお別れしてきたから」

「そっか…」



理玖はそう言うと、口から魂が抜けてしまいそうなほど深いため息をついた。



そうだよね…。
翔くんは、理玖にとって目の上のたんこぶのような存在だったもんね。

恋人にとって《別れ》と言う残酷な二文字は、話し合いを始めたばかりの3分前の私達と、今の私達との間に大きな壁を作った。