交際当初から今までの事をよくよく思い返してみたけど、自分から誘ったデートは片手で数えられるほど。

いつも積極的に誘ってくれたり、駅で待ってくれたりしたから、理玖との交際は苦労しなかった。



だから、いつも甘えてた。


優しくしてもらったり。
甘やかせてもらったり。
笑わせてもらったり。
ドキドキさせてもらったり。
時には、ワガママに付き合ってもらったり。



理玖が優しいからつい甘える癖がついてしまって、寄りかかるだけの頼りない交際になっていた。

でも、私は罰当たりだから誘われたデートを立て続けに断るように。
キスを拒み始めた後は、ただ二人きりで会う事でさえ躊躇うようになっていた。


一度会えば笑顔が生まれる事を知りつつも、気付けば何らかの理由をつけて断りの連絡を入れている自分がいた。





まだ関係が良好だった頃は塾もあったし、一週間に三回以上は必ず会っていたのに。

翔くんが会いに来たあのバレンタイン前日の日を境に、理玖とは自然と距離を置くようになってしまい、最近は一週間に一度も会わない日が出来てしまった。