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「絡み合った指先と〜♪ 二人見つめ合った笑顔と〜♪」
「……あれ?その曲って、KGKのセイのソロデビュー曲の《For you》じゃない?」
「うん、最近この曲流行ってるよね。セイの歌声の魅力が存分に引き出されてるよね。今このバラード曲に激ハマリ中なんだ」
咲が道端で口ずさんだこの曲は、恋人に上手く気持ちを伝えられぬまま別れてしまって、想いを断ち切れない恋心を綴った曲。
序盤はピアノ伴奏から入っていく。
この曲は、まるで今の心境を語っているかのよう。
それは、私だけじゃなくて口ずさんでいる咲も同じ心境なのかなって思うほど。
こんな小さな事でさえ引っかかってしまう。
私達は駅前のファーストフード店に入り、ハンバーガーのセットをそれぞれ注文した。
商品が乗ったトレーを持ってレジカウンターの脇にある階段を上って、空いてる二階席に腰を下ろす。
腰を落ち着かせてハンバーガー袋を乱雑に開いてハンバーガーにかぶりつくと、正面に座っている咲は両手を膝に下ろして慎ましく口を開いた。
「この前はごめんね。愛里紗の言う通り、翔くんの事でグズグズ悩んでた。あの時は、翔くんに未だに執着しているんだなって思われたくなくて、誤魔化すのに精一杯だった」
「ううん、私の方こそ配慮のない言い方をしてごめんね。きっと、私には言いにくかったんだよね」
「謝らないで!……私が悪かったから。愛里紗との間に溝を作っていたのは、私だった
んだよね…」
「ううん、そんな事ない」
本当は咲が悪い訳じゃない。
いくら親友と言えども、元カノの私に翔くんの話を相談しろというのは無理があった。
でも、私自身も咲の親友としての立場と、翔くんの元カノいう立場の狭間で苦しめられていた。
それに加えて、最近は理玖との関係も不安定だから、気持ちのバランスが取れない。