ーー春休みを間近に控えた、午前授業の日の今日。


先日から咲とファーストフード店でランチをする約束をしていた。
咲のアルバイトのシフトが入ってない日だから、夕方までのんびり遊ぶ予定。



今は咲と肩を並べて学校から駅方面に向かってる最中。

翔くんと別れたばかりで気は晴れないけど、咲と一緒に過ごせば少しは気分転換になるかな。



でも、昨日翔くんとキスをしたせいか、今日はやけに咲の唇の方に目がいってしまう。

二人が別れてからも咲の口から翔くんとの進展話は聞いた事がなかったけど、私と理玖よりも長い期間付き合っていたから、きっとキスくらいはしていたはず。



当人には到底言えるはずがないけど、私達は同じ人と唇が重なって同じような温もりを感じた。

二人はもう別れてるけど、私は理玖と付き合っている。
誰にも言えない秘密の恋心は、自ら終止符を打った後も自分を苦しめ続けている。


咲には言えない秘密だけが増えていき、人知れず胸が締め付けられるような日々を送る事になった。



でも、こうやって罪悪感が身に染みてるから、きっと別れという選択肢は間違っていなかっただろう。