「…泣かないで。この話はもう今日で最後にするから」

「………ん」



震えている返事と共に頬に伝った一粒の涙がポロっと床に砕け散った。



やっぱりそうだ…。
最後最後って、翔くんは先日の別れ方があやふやになってしまったから、今日はケリをつける為に会いに来たんだ。

でも、これが正解だね。
もう二度と会わなければ、お互い苦しみから解放されるかもしれないね。




恋しい気持ちを切り離そうとしている一方で、涙腺は崩壊寸前に。
涙の蛇口をあと一センチ緩めたら、取り返しがつかなくなる。

でも、これ以上の感情を見せる事は決して許されない。



先日、一度ミスをしてしまったから守り通していたモノが壊れてしまった。
その後に待ち受けていたのは、これとないくらいの絶望感。

だから、私はいま以上大事なモノを壊さぬように息を呑みながら涙を堪えた。