「私達、親友なのに溝がある。仲直りしてからも、一線を引きながら付き合いを続けてるよ。咲だって気付いてるでしょ?…もう、嫌になる。私は咲が大好きなのに何の力にもなれてない!」
見て見ぬ振りなんて出来なかった。
私達二人の間に価値のない時間なんて存在しない。
咲と過ごした約二年間は、私にとって代わりが利かないくらい大切な宝物だから。
それに、感情を誤魔化す為に理玖の話題へシフトしたのも気に食わなかった。
「…ごめん。……愛里紗、ごめんね」
咲の赤く充血した瞳からは、大粒の涙がポロポロと不揃いに滴った。
それを見た瞬間、愛里紗はハッと我に返り、必要以上に言い過ぎた事を後悔する。
咲は様々な事情が入り組んでいて深く傷付いてる事を誰よりも知っているのに、私はあと少しの配慮が足りなかった。