「さっきから理玖、理玖って……。咲は自分に都合が悪くなったら理玖の話をするの?」

「えっ……」


「いつもそう。話を逸らせば翔くんを思い浸ってる姿を誤魔化せるとでも思った?しかも理玖の話を巻き添いにしないでよ」



気付いた時には本音と感情をむき出しにしていた。



「私、そんなつもりじゃ…」

「辛いなら辛いって素直に言えばいいじゃん。翔くんが写ってる卒業アルバムを引っ張り出すくらい忘れられないんでしょ。私が傍にいるのに一人で泣かないでよ」


「……愛里紗」

「何よ……。バカみたいに遠慮しちゃってさ。素直になればいいじゃん」



私達は仲直りしてからもお互いに気遣い過ぎて本音でぶつかり合わなかったから、いつまで経っても間の壁は取り払われなかった。


お互い大切な存在なのに、気軽に本音も吐けない。
仲直りしてからも心の距離が存在している。