私達は食事を終えてから一旦部屋へ移動した。
じゃんけんで私が先にお風呂に入る事になり、咲には部屋のテレビを観て待っててもらう事に。


約30分後、お風呂から出て部屋の扉を開けて声をかけた。



「咲~、次お風呂どうぞ~!」



……と言って扉の奥の咲の背中を見た途端、1秒前の笑顔が消えた。
何故なら、咲は本棚前で小学校の卒業アルバムを開いてすすり泣きしていたから。
てっきりテレビを観て待ってると思ってたのに、悪い意味で予想を裏切られる事に……。

それは、心の傷があからさまになった瞬間でもあった。



「咲…」



多分、見てはいけない現場だった。
見て見ぬふりをするのが正解だった。
でも、気づいた時には口から咲の名が溢れていた。



咲は背中越しから声を聞き取った瞬間ハッと驚いて、目をゴシゴシ擦って泣いた跡を隠して不自然な笑顔で振り返った。



「アルバムを勝手に見ちゃってごめんね」



明るく目を細めて笑っても、誤魔化しようが無いほど目が充血している。



「あ、ううん…」



軽く首を横に振ったが、正直どう反応したらいいか分からなかった。