愛里紗と会えない時間は想いばかりが募る一方だった。
それは、今に始まった事じゃない。



彼女の隣で過ごした一年間は、一生分の幸せを手にしたくらい幸せだったのに、崩れ去るのは驚くくらい一瞬で。
崩壊した幸せは立て直しが利かずに長年朽ち果てていた。



愛里紗に会いたくて胸が押しつぶされそうになっていた五年間、俺の心は死んでいた。



いつかは殻を破って新しい人生を踏み出そうと思って途中何度も諦めようとしたけど、心に棲み続けていた恋心は断ち切る事が出来ない。



愛里紗と再会すると、一生懸命愛してくれた咲ちゃんを傷付けてしまっても、俺は自分の想いを優先したくなった。

無理して新しい自分に生まれ変わろうと思った結果、努力では人を好きになれないと知り多くの人を傷付ける結果に。



あの街を離れてからも後ろ髪が引かれていたから、愛里紗からの手紙の返事が届かなくても一方的に手紙を書き続けていた。

いつか、彼女からの返事が手元に届く事を信じて…。



彼女を恋しがるあまりに、誕生日にもらった手袋もほつれるまで毎日手にはめていた。

指先がじんわり温まっていくと、昔初めて彼女と手を繋いだ事を思い出して安心したように眠りにつけた。