バレンタイン前日の三角関係がもつれてしまったあの日。

理玖とのケンカ後にその場に一人取り残された翔くんの切ない表情が、目に焼き付いてしまって離れようとしない。



あれから三週間近くが経とうとしてるのに、何度も同じシーンが頭の中に鮮明に蘇ってくる。
理玖と楽しく過ごしていても、一度その事が頭に過ぎると翔くんの事で目一杯になってしまう。





たまにしか開かなかった思い出の宝箱は、あの日を境に開く機会が増えた。

長年大事にしまっていた翔くんからプレゼントのイルカのストラップを手に取って、翔くんを思い浸る日々が続く。

このままじゃいけないと思って、何度も我が身を振り返ってしつこく自分に言い聞かせている。





でも……。
一度暴走を始めた恋心は急ブレーキが利かない。
今の私は恋人の定休日を設けてしまうくらい恋の病は深刻だ。