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「理玖、ごめん。今日は体調不良で塾を休むから、帰りのお迎えは要らないよ 」
『えっ!大丈夫?風邪でも引いた?』
「大したことはないんだけど……。今日はごめん、またね」
そう言って、身を心配してくれる理玖との電話を切った。
本当は体調なんて悪くない。
心の中のしこりが渦巻いていたから、罪のない理玖に罰当たりな嘘をついた。
罪悪感が襲いかかって震える指先で通話終了ボタンを押す自分が何だか情けない。
理玖と会えばいつも通りに楽しいし幸せだ。
でも、最近会う直前までは別の事を考えている。
バレンタイン前日に『好きだ』と気持ちを伝えてきた翔くんが頭の中から離れない。
私には翔くんとの未来なんて無縁なのに、理玖との現在を台無しにしている。