木村からの告白を受けたとの一報は、翌日咲の口から伝えられた。
「事故がきっかけで木村くんに対する気持ちは変化してきたけど、まだ恋とかそんな気持ちにはなれなくて…」
「……」
「恋って難しいよね。トキめいてる時は幸せなのに、思うように進まないと悲しくなる」
「うん、わかる。でも、恋が思うように進んだら意外と幸せじゃなかったりしてね」
翔くんという壁が立ちはだかっている私達の恋愛話は自然と制限がかかっていて、互いに100パーセントの本音が伝えきれない。
でも、なるべく隠し事は避けたいし、これ以上お互いを傷付け合わないようにしていきたい。
「そうかもね。まだ恋の波には乗れないけど、いつか心が成長していく日が来るのかな」
「きっと来るよ。順調な恋を迎える日がきっと……」
深い傷を負った心が治癒するまではまだ長い時間がかかりそうだけど、傍で見ている限りでは回復傾向に思える。
咲は私の宝物だから、大切にしてくれる人と幸せになって欲しいと心から願っている。
想う恋もあれば、想われる恋もある。
一つ恋が終わっても、全てが終わりじゃない。
そこは行き止まりじゃなくて、また新しい道のりへのスタートラインなんだよ。