「あはは。ごめんごめん、冗談」
「でも、中学生のバレンタインの時に渡したマフィンの事を今でも覚えてくれてたんだね」
「当たり前だろ。やけに日焼けしたやつだよな。美味すぎて喉元をなかなか通って行かなかったやつだろ?」
「……それって遠回しにマズイって言ってる?」
「んな事、ひとことも言ってねーよ」
翔くんの一件で溝が出来てしまったけど、理玖の気遣いとネックレスが見付かった事で少し気が晴れた。
理玖は本当にスゴい。
昨日今日と辛い状況が続いたにも拘わらず、自分の気持ちはそっちのけで私の笑顔を生み出す努力してくれている。
振り返ってみれば、昔からずっとそうだった。
理玖の精神力があまりにも強いから、私は当分敵いそうにないや…。