昨日翔くんと駅で会った後は、そんなに歩き回ってはいないから、記憶を頼りに二人で分担しながらカフェ付近を探し回った。

すると、店を出てから5分もしないうちに、4メートルも離れていない理玖から思わぬ歓喜の声が上がった。



「おい!あった!愛里紗ー!ネックレス見つかったよ」

「嘘っ!…どこに?」


「ここに落ちてた」



理玖は地面にキラリと輝いているネックレスを跪いてつまみ上げると、愛里紗に向かってニカッと満面の笑みを浮かべた。



ーーしかし、ネックレスが落ちていた先。

そこは長年温めていた気持ちを吐き出した翔が背中から抱きしめてきた場所だった。



「見つかって良かったな。もう落とすなよ」



理玖は私の目の前に来て、受け皿にしている両手にネックレスを滑らせるように乗せた。

その瞬間、翔くんの腕の中に包まれている自分の姿がフラッシュバックしてしまい、無邪気な笑顔でネックレスを渡す理玖に申し訳なさでいっぱいになった。