それから私達は昨日のカフェに出向いて、店員にネックレスが落し物として届けられていないかを尋ねた。
……でも、見つからなかった。
ショックが重なり店を出てから深いため息が溢れる。
すると、理玖は私の頭をポンポン二回叩いた。
「……諦めるしかないな。代わりに新しいのを買ってやるから」
「ううん、新しいネックレスじゃダメ。もう少し探したい」
「愛里紗」
「私はあのネックレスじゃなきゃダメ!理玖から貰ったあのハートのネックレスじゃなきゃ…。代わりなんてないから」
愛里紗は、今は無きネックレスの定位置に手を当てながら感情的になって涙を零した。
紛失したネックレスは理玖自身。
私が大切にしなかったから姿を消してしまった。
だから、翔くんを忘れる決意と理玖を大切にしていく為に、紛失してしまったネックレスに執着していた。
理玖は涙がポロポロと溢れ落ちていく愛里紗を見ると、肩を組んで穏やかな目を向けた。
「…じゃあ、暗くなるまで頑張って探すか」
「うん…」
理玖はなかなか諦めをつけようとしない私にそう言って元気付けた。
カバンの中から取り出したミニタオルで涙をひと拭きしてから、カフェに背中を向けて再びネックレスを探しを始めた。