そんな小さな仕草が更に私の気持ちを追い込んでいき、一言一言がトゲのようにチクリと痛む。
「あの時は、翔くんに話があるって駅で引き止められて……。二人で駅ビルのカフェに入った」
俯きながら重い口を開いた。
別に責め立てられている訳でもないのに、まるで浮気の言い訳をしているかのよう。
「じゃあ、今からその店に行って落し物として届いているかどうか聞いてみるか」
理玖は普段からモテモテだから気持ちに余裕があるように見せていたけど、私の事になると別人のように目の色が変わる。
口には出さないけど、昨日の一件が理玖の言葉や仕草で本当に嫌だったんだなと痛感させられていく。
それに、人前で怒ったり強引にキスをしようとしていた事なんて今まで一度もなかった。
理玖は私を手放したくないから。
翔くんに奪われたくないから。
私がはっきりと気持ちを伝えないから。
私がお日様のような光を不安色で覆っていく。