「ネックレスを落とした場所の心当たりは?」

「昨日からずっと考えてるんだけど見当がつかないの。今朝は通学路や駅や交番へ聞き回ったんだけど見つからなくて。学校にもないし、学校の最寄り駅にもなかった」



互いに目線を下に向けて紛失したネックレスを探し歩きながら、絡んだ指先と共に会話を繋いでいると…。



「あんまり…聞きたくないけど…、あいつ…と会った場所…とか」



理玖は言葉を途切れさせながら床に目をやっているが、繋いでいる指先に力が加わっていく。
それは、隠しきれない感情が露わになった瞬間だった。



「もしかして…、ヤキモチ妬いてる?指……痛いし」

「あ、ごめん……。俺、やっぱりそうなのかなぁ。あんまり心に余裕ないし……」



理玖はそう言って口元を左手で押さえて、駅の天井を見上げて拗ねた表情を隠した。



理玖は普段から「好き」と、気持ちをストレートにぶつけてくるタイプだけど、言葉以上の気持ちが今は指先一つから伝わってくる。