改札に近付いて一歩一歩理玖のところに距離を縮めていく度に、ネックレスを落としてしまった罪悪感と、本音を誤魔化す自分に胸が締め付けられていく。
でも、いつまでもモヤモヤしてられないから、無理に口角を上げて普段通りの自分を演じた。
「理玖~!お待たせ」
「よーしっ!じゃあ、ネックレスを探しに行くか」
「うん、ごめんね」
声をかけた途端、理玖は声を明るいトーンに上げて当たり前のように指を絡ませてきた。
だから、指先に力を加えて握り返す。
私は理玖の彼女だからこれが正解。
こうやって、一つ一つの事をしっかり心に言い聞かせながら、いつも通りの平和な日常に戻っていく努力を始めた。