木村は三人組の嫌味に一切耳を貸さずに凛とした対応をする。



「お前らはどうしてそんな小さな事をバカにしたように繰り広げるの?お前らに悪意がなかったとしても、この話が駒井の耳に入ったら傷付くだろ?それに、俺がこの場から離れるのは、お前らが駒井の悪口をやめてからだ!」



木村がきっぱりとそう言うと、三人組は嫌気に満ちた目で互いに合図し合った後、鼻であしらいながら再び木村に冷淡な目を向けた。



「説教くせぇ奴。木村ごときが偉そうに」

「あんたが勝手にアタシ達の話に突っ込んで来たんだろ?あんたが先に引っ込めよ」

「いいよ、沙織。こんな奴相手にするのも面倒臭いからあっち行こ。こんなのと話してても時間の無駄無駄」



騒々しく罵声を浴びせていた三人組は、去り際に嫌味ったらしくひとことずつ文句を言って、正面に立つ木村を避けながら順々に階段を下りて行った。



「ばぁーか、勝手に駒井と仲良くやってろよ」

「お熱い王子様ですこと。オホホ」

「アタシ達に偉そうに説教してんじゃねーよ。てめぇは不愉快なんだよ」



木村は不機嫌な三人組に頭にきていたが、最後まで我慢してじっと耐えた。





私達がいる廊下側から木村までの距離は、およそ4メートル。
当然、木村はすぐ側にいる私達の事なんて気付くはずもないし、三人組とのやり取りが咲本人の耳に入ってる事すら知らない。

それでも、一年の頃から咲を一途に想い続ける木村は、最後まで男らしく咲の存在を大切に守り抜いた。