「いいの、私なら大丈夫だから。いちいち相手にしていたら相手の思うツボだし、そのまま放っておけばいつかは忘れてくれるよ」

「だって、悪口を聞き始めてからもう一年経つよ?悪口は収まるどころかエスカレートしていく一方じゃん。もう我慢出来ないし黙ってられない」



咲は行く手を阻もうとするが、私はとうに堪忍袋の緒が切れている。
今回もまた注意をして、もう二度と悪口を言わないように釘を打っておこうと思っていた。

ところが……。



「駒井がブサイク?おいおい、よく顔見てみろよ。駒井はお前らより100倍以上かわいいし、100倍以上性格がいいけどな」



階段側から三人組の方へと向けられた太く低い声が、付近で足止めしている私達の耳にも届いた。

私達二人は再び目線を階段へと向けると、階段下からゆっくり現れた木村が、悪口を繰り返している三人組の前に立った。