嫌みたらしく悪口を言う声に聞き覚えがあった。


咲と同じタイミングで声の主を辿るように階段の方に目を向けると…。
そこには、上り階段に直座りしてる二人と、向かいに立つ一人の計三人組が、髪をいじったり鏡を見てメイクを直したりしながら談笑していた。

その三人組とは、以前から咲の悪口をしつこく繰り返していた一組の女子達。



「駒井はフリーの男子に配る為にいっぱい作って来たんじゃない?」

「本命がいないから、とりあえず男子にクッキーをばら撒いて気を持たせる作戦なのぉ?やっばぁ!」

「わはは!あいつならあり得る〜。ブサイクのクセに巧妙な手口だねぇ。バレンタインだから気合い入りまくってんじゃないのぉ?」



三人組は以前と同じように小バカにしたように嘲笑い、心無い悪口を執拗に続けている。
好き勝手に繰り広げられていく悪口が合間なく繰り返されていくと、咲はショックのあまりに目に涙を浮かべていた。



咲は悪口が始まった日から今日まで、出口の見えないトンネルで彷徨い続けている。