両肩に触れれば、彼が抱きしめてきた感触が思い出せる。


大きな身体で包み込む暖かさと。
揺れる恋心と。
優しく奏でる恋の鼓動と。
耳元で好きだと言ってくれた声変わりした低い声。


忘れられないけど、忘れなきゃいけない。
それが私の運命。



来世では必ず一緒になろうね。
傷付けてしまった分も幸せにしてあげるから。
もう二度と辛い想いはさせないから。
翔くんの耳にタコができるくらい、いっぱいいっぱい好きだと伝えていくから。


だから、いまは翔くんへの恋心を封印させてね……。







「ゔああぁぁ…っ……あっ……あぁっ……」



愛里紗は物置の天井に叩きつける雨音に包まれながら、届かぬ手紙を書き続ける翔と先程置き去りにしてきた翔を思い描くと、我慢していた感情が込み上げてしまい、地べたにおしりをストンと落として声を荒らげながら泣き崩れた。