『ネックレスはきっと見つかるよ。今日は時間も遅いし雨も本降りになってきたから、明日二人で一緒に探しに行こう』
「うん…」
『俺が必ず見つけ出してやるから心配すんなって』
「……ありがとう。明日はバレンタインなのに、時間を使わせちゃってごめんね」
『俺にとって重要なのはバレンタインじゃなくて、お前が隣にいる事だから。それに、元気がない姿なんて見たくないし』
「うん…」
『…それと、さっきは無理矢理キスしようとしてごめん。お前が辛い想いをしていたのに』
「…ううん」
『なんか、あいつの言葉に左右されてイライラしてて考えてやれなくなっていた。……俺らしくねぇな』
「私の方こそごめんね」
本当は謝るのは理玖じゃなくて私の方なのに。
不都合な気持ちを誤魔化してる自分の方が圧倒的に悪いのにね。
でも、ネックレスを落とした事を素直に伝えられたせいか、少しホッとしていた。
キスを拒んだ後から微妙な雰囲気のまま別れてしまったから。
今は理玖の彼女。
啀み合う二人を目の当たりにしても、翔くんへの恋心に気付いてしまっても、私はこの先もずっと理玖の彼女だろう。