愛里紗は、理玖が心配する声とネックレスを紛失してしまった申し訳なさに板挟みされると、再び涙が頬を濡らした。



「理玖から貰ったネックレスを何処かで落としちゃったみたい。家中探したんだけど、何処を探しても見つからないの」

『声…、震えてるみたいけど。もしかして泣いてる?』


「……」

『家で見つからないなら外で落としたとか』


「フックが壊れてたから早く直さなきゃいけないと思っていたのに。何度も何度も家中探したのに見つからなくて。あのネックレスは私の大事な宝物なのに……」

「愛里紗……」



愛里紗はやり場のない苦しみを味わいながら、気持ちを吐いたと同時にスマホを片手にしたまますすり泣き始めた。
それは、まるで紛失してしまったネックレスと、理玖に対する想いを重ね合わせてしまっているかのように……。



スピーカー越しに鼻をすする音が理玖の耳に伝わる。
愛里紗の顔を見なくても、いまどんな表情をしてるか何となく察した。

だが、愛里紗がネックレスへの執着心を覗かせた事によって、理玖の心に希望の光が導き出されていく。



『…ったく、お前は相変わらずドジだな。大丈夫だから泣くなって』

「……ん」


『俺があげたネックレスを今でも大事にしてくれていたんだな。サンキュ』

「うん……。毎日大事に身に付けてた。可愛くて気に入ってたのに、さっき着替えをした時に紛失した事に気付いたの」



理玖は愛里紗の想いが伝わると、先ほどまでクヨクヨしていた自分が何だかバカらしく思えた。