想定外の地獄絵図にサーッと血の気が引いていく。
「う……そ………」
よくよく思い返してみると、今日は英会話教室の日。
理玖と会えない日だから、バレンタインのラッピング材料を買いに来た。
怯えた目を横に向ければ、英会話教室が入っているビル。
理玖は授業を終えてビルを出たところに、私達二人を目撃した様子。
このシーンどこかで見た事がある。
そうだ……、夢。
悲しみの表情を浮かべている理玖と。
誰かに罵声を浴びせながら馬乗りになって、胸ぐらを左手で掴み上げて右拳を振り上げ、今にも殴りかかりそうになっている理玖。
あの時は相手の顔がぼんやりしていたからよくわからなかったけど、相手が翔くんだったなんて……。
幸先悪い夢だから早く忘れたいなって思っていたけど、それがまさか正夢になるなんて。
早く二人の間に割って入ってケンカを止めなきゃ。
このままだとお互い身も心も傷付けあっちゃう。
きっと、翔くんは理玖のひとことで私の彼氏だと気付いたはず。