写真の中の幼い谷崎を見た咲は、唇をガクガクと震わせる。
「……この人が、愛里紗の初恋相手の谷崎くん」
「うん、谷崎 翔くん。私の好きだった人」
「…………」
「お別れの日は離れたくない一心で夜遅くまで二人で神社の本殿の裏に隠れたの。結局、親に見つかって引き離されたんだけどね。最後は声が枯れそうなくらい思いっきり泣いたよ。私達の願いは大人には届かなくてね」
「……そう」
「あれからもう四年。激動の一年だった。今でも何度も何度も思い出す。…谷崎くん、元気にしてるかな」
愛里紗が遠い目で思い出に浸っている間、咲は曇った表情のままアルバムを閉じてゆっくり机に置いた。