私が暮らす街は、快速電車も停車するくらい乗降車率が高い大きな駅。
駅前には多数のビルが立ち並んでいて、夜でも街明かりで一人一人の顔が鮮明に見えるくらい眩しく照らし続けている。


帰宅の途につく人々は、道端でバックハグをしている私達へと注目している。

より多くの視線が集まっている中。
残念ながら、人に見られて恥ずかしいと思う以前に胸の高鳴りの方が勝っていた。

私は恋する鼓動に襲われて頭の中が真っ白に…。





しかし、翔が抱きしめた衝撃によって留め具のフックが緩んでいたハートのネックレスは愛里紗の首から外れてしまい……。
二人の耳に入らないくらい小さな音を立てて地面へと叩きつけられていった。



街明かりは、愛里紗の足元に落ちているネックレスをキラリと反射させている。