私は再び翔くんに心狂わされた瞬間、自分自身が怖くなった。



翔くんが街から姿を消したあの日を境に、神社から見上げた空は青色じゃなかった。

いつも光を失った灰色。
今にも雷が発生しそうなほどの暗い暗い灰色だった。



決して天気が悪かった訳じゃない。
曇りの日も雨の日も雪の日もあったけど、晴れの日も沢山あった。



でも、ストローから命が吹き込まれたばかりのシャボン玉は、降り注ぐ太陽の光を反射させて、いつも七色の虹色に光り輝いていた。


色を感じなかった訳じゃない。
空の色が灰色のように思えたのは心の問題だった。





理玖が光だとしたら、翔くんは影。


理玖と会う時は自然と笑顔で。
翔くんと会う時はいつも表情が曇っている。


でも、影は昔から影だった訳じゃない。
元々は誰よりも美しく輝かしい光だった。