ひょっとしたら、過去のトラウマが今の自分を引き止めているのかもしれない。
翔くんが街から姿を消したあの日が人生の中で最も辛い出来事だったから。



でも、神社で再会した時と一つ違うのは、そこに冷静な自分もいる事。


先日、『俺の傍から絶対離れるな』と涙を光らせていた理玖。
その瞬間、今にも心が壊れてしまいそうに感じていた。



それに、家を飛び出した翌日に神社で翔くんと抱き合った日。
身体には翔くんの残り香が付着していたのに、理玖は帰宅したばかりの私の身体を抱きしめて、『何も聞かないよ』って強がりを見せていたクセに、心配している痕跡を残していた。


不器用に我慢ばかりを重ねている彼。
これからも大事にしたいって思ってるのに、私はこんなところで何やってるんだろう。

今日は理玖の為に、バレンタインチョコのラッピング材料を買いに来たんでしょ。

それに、先日理玖の傍にいるって約束したばかりなのに、また裏切ろうとしているの?
理玖は私を信じきっているのに。



私だって、これ以上理玖には悲しい想いをさせたくないって。
理玖を大事にしたいって。

この前しっかり心に誓ったのに……。