でも、時代は移り変わり始めても、長年温めてきた想いはしっかり胸の中で生きている。


彼女と再会できた深い喜び。
恋人への嫉妬心。
もどかしい想い。
やりきれない気持ち。
募る恋心。


彼女と再会して新しく生まれた感情は、心の中に隙間がなくなるほどギュウギュウに埋め尽くしている。




暫くその場で彼女の姿を目で探しながら佇んでいると……。

改札口から流れ込む人混みに途中から紛れ混んでいる愛里紗の姿を発見した俺は、足に熱い血を巡らせながら彼女の元へ向かった。

そして、愛里紗の左腕を引く。



「愛里紗…」

「えっ………」



彼女は忽然と姿を現した俺に気付くと、丸い目を向けた。
指先の脈が彼女のコート越しに伝わってしまうのではないかと思うくらい、ドキドキが治らなかった。



「う………そ………」



彼女はまるで幽霊でも見たかのような表情に。
でも、五年近く経った今でも昔と変わらないくらい麗しい輝きを保っていた。