でも、私達は交際を始めてからもう三ヶ月経つし、理玖は待つとは言ってくれたけど、次の進展を期待してたりもするのかな。
付き合い始めて三日目に何となくそんな雰囲気になった時はまだ気持ちの準備が整わなかったし、ハジメテだから怖かった。
断る事ばかりしか考えていなかったけど、キスが当たり前のようになった今もやっぱりまだちょっと怖いな。
その日を境に、心も身体も大きく変わっちゃうような気がして……。
まだ全然先の事だと思ってたし、未知の世界だから不安ばかりが付きまとっている。
理玖との進展に心をザワつかせながらボーッとエスカレーターを下って、駅から遠ざかるようにバスのターミナルの方に足を向かわせると……。
「愛里紗」
突然、左側から誰かに名を呼ばれた。
振り向こうとすると、同時にグイッと腕を掴まれて家路へと進めていた足は引き止められる。
「えっ………」
驚きながら腕を掴んでいる相手へと目を向けた。
すると……。
「う………そ………」
思わず素っ頓狂な声が漏れた。
ーーその日は不意に訪れた。
前触れや予兆もないまま、私の心は嵐に巻き込まれてしまったかのようにかき乱されていく。
何故私がこんなに酷く驚いているかというと、そこにはおよそ二ヶ月前に神社で抱き合った翔くんの姿があったから。