理玖は積極的なキスに驚いて目を開かせたまま。
驚いて当然だよね。
不意打ちだもんね。
私からのキスは初めてだもんね。
でも、今はこれくらいしか力になれないから……。
愛里紗は目をゆっくり開いて、驚かせている理玖から唇をそっと離すと、目を合わせて穏やかに微笑んだ。
「私はずっと傍にいるよ」
口から漏れた白い息は彼に届く。
私は再び笑顔を見る為に、彼の心と約束をした。
すると、理玖はフッと表情を和らげて笑う。
「ありがと。……元気出たわ」
二人は思わず照れくさい笑みが溢れる。
「…でも、めっちゃ苦しい!マフラーで俺の首絞まってるし!」
「あぁっ…ゴメン!」
マフラーをギュッと握り続けていた愛里紗は、焦って理玖の首からマフラーを解く。
正直、理玖に恋をしているか未だにわからない。
翔くんに恋している時は、落雷が起きたかのようにこれが恋だと実感していたけど…。
もしかしたら恋には色んな種類があるのかもしれない。
理玖の笑顔をずっと見ていたい。
もし、これが恋心の一つだとしたら、この恋を大事にしていかなきゃね。
結局、落ち込んでいた理由は最後までわからなかったけど、私の選択は間違ってなかったと思う。