理玖……。
もしかして泣いてるの?


急に『俺の傍から絶対離れるな』なんて、一体何があったのかな。

何か辛い事があったの?
弱音を吐くなんてらしくない。
理玖には涙なんて似合わないし、屈託のない笑顔が一番なのに……。




昼間に翔と初対面を果たして絶望感に陥っている理玖。

そして、理玖が初めて見せた涙に心が引き止められる愛里紗。


声がかけづらくなるほど落胆しているその姿は、愛里紗の心を惑わせていく。





理玖の心は、燃え尽きる間近のキャンドルの炎のよう。
風でゆらゆらと揺れ動く灯火が今にも消えそうなくらい弱々しくて、あとほんの少し風が吹きつけたら消えてしまいそうなほど。