沈黙の時間はプレッシャーに重圧されていく時間に。
すると、次の瞬間。
神妙な面持ちの彼は、固く閉ざしていた口を開いた。
「愛里紗…」
「うん。何でも聞くから話して」
声のトーンを落として呟くように私の名を呼ぶその声が少し話しづらそうに聞こえたから、少しでも不安を取り除く為に理玖の髪を撫でた。
すると、理玖は重苦しい口を開く。
「俺の傍から絶対離れるな」
「えっ……」
「頼むから…。俺、愛里紗が居なくなったら死んじゃう……」
街灯が私達二人をほんのりと照らしているけど、俯いている彼の顔は完全に影になっている。
普段は自分に自信たっぷりの理玖。
だけど、初めて見せる弱気な部分に思わず言葉を失った。
次の瞬間、理玖の前髪の隙間からキラリと涙が光った。