「俺は中三の頃に愛里紗と付き合っていた。でも、当時のあいつの頭ん中にはずっとあんたが棲み続けていたから、俺の恋は絶望的だったよ。それでも隣に居られる事に感謝をしながら、前向きに向き合い続けた。


卒業式の日を境に自然消滅してからも忘れられなかった。…でも、春に再会するチャンスが訪れたから、もう二度と後悔しないように全力を尽くしてきた。


再び互いの距離が近付いてきてようやく上手くいき始めたのに…、このザマかよ。あんたは俺の地道な努力を知らないから虫がいい事が言えんだよ。


あいつはあんたのせいで長年苦しめられてきた。毎日暗い影を被りながら泣き腫らした目で学校に来てたんだよ。……好きなら何でちゃんと守ってやらねぇの?


中学時代の丸三年間毎日あいつを見てきた俺に、今更のこのこ出てきて大切な人と言われても納得する訳ないだろ。俺はあんたみたいに愛里紗を泣かせたり、苦しめたりした日なんて一度もないからな!」



理玖は理性を失うほど怒号を浴びせると、翔の胸を突き放して、表情を隠すかのように顔を逸らす。