だから、俺は聞いた。



「あんた……。もしかして、『今井くん、ちょっと今いいかい?』の、今井くんなのでは……」



理玖は動揺するあまり、咲と話していたまんまの形で翔に問い尋ねる。
真面目に聞いたつもりが、当然翔には伝わるはずもない。

翔は猛吹雪レベルのサムいダジャレを聞き取ると、反応に困り真顔で言った。



「お前の言ってる意味がさっぱりわからない」

「俺は覚えてる。自慢じゃないけど記憶力がいい方なんだ。あんたあの今井じゃないのか?」


「残念ながら、俺にはあの今井と言われても
よくわからない。……そもそも、お前とは馬が合わないようだ」



翔は理玖のトンチンカンな話についていけずに頭を抱える。
だが、理玖は翔の返答に口を尖らせる。



「馬が会わねぇって。…そもそも俺は、馬なんて飼ってねぇし」



眉を吊り上げてキッパリ断言する理玖。
残念な事に『馬が合わない』の意味が解らなくて履き違えてしまう。

翔は再三に渡る馬鹿げた返答に、もう言葉が出ない。



こいつ……。
馬…鹿…………。



馬が合わないの意味を知らないのか。
それともわざと俺をおちょくってるのか。
愛里紗はこいつのどこが良くて付き合ってんだ。


ワカラナイ…。