「あんた…。まさか、愛里紗の元彼の谷崎じゃ……」

「…谷崎じゃない。いまは今井だから」



翔はそう言って僅かに唇を震わせる理玖から目線を落とした。



現在の名前は谷崎ではないが、元彼だという事実を否定しない翔。
理玖は最も恐れていた人物に辿り着くと、全身の血が逆流しそうなほどのショックを受けた。



でも、名字は谷崎じゃなくて今井?

あれ……?
今井って最近どこかで聞いたような。



理玖は首を傾げながら《今井》に関する情報を脳内サーチした。



今井…。
いまい……。
えーっと、いつだったかなぁ。



理玖は過去を思い巡らせているうちに、愛里紗の部屋に辿り着いた。
その瞬間、ピンと閃いて目を大きく見開く。