ーー夏休み間近になり入道雲が空一面に広がっていた快晴のある日。

私がいつものように登校すると、下駄箱に入っているはずの上履きがなくなっていた。


軽く辺りを見回してみたけど、クラスメイトの上履きやシューズはキチンと下駄箱内に収まっているのに、何故か私の上履きだけが忽然と姿を消している。



こんな経験は生まれて初めて。
これは嫌がらせなのか、それとも誰かが間違って履いて行ってしまったかさえ混乱してる今の自分には分からない。



運動靴を脱いでから履くものがなくて、泣きべそをかきながら靴下のままひんやりと感じる廊下を歩いて教室へと入った。
もぞもぞしている足は痛痒く感じる。



様子のおかしい愛里紗を見た友達は、心配そうな表情を浮かべて傍へと駆け寄る。



「あーりん!どうして泣いているの?」

「泣かないで、あーりん。泣いてる理由を私達に教えて」



私の心配をしている友達の声に反応したクラスメイトは、異変に次々と気付いてザワつき始めた。

そして、学校へ到着したばかりの谷崎くんまで私の異変に気が付くと、ランドセルを席に置いてから傍へとやって来た。