翔はコートの裾を捲って面白がるように制服を覗き込んだり、鼻を近付けて匂いを嗅ぎとるセクハラ三人組の前に、右手のひらをバッと勢いよく向けて嫌がらせ行為を遮断。

取り囲んでいる三人組は瞬く間に揃って身体を反らせる。


翔は上目使いで睨みを利かせながら、5メートル先の理玖集団の方へと殺気立たせながらズカズカと足を向かわせた。



翔は理玖の性格を知らない。
その上、最悪なタイミングの時に出くわしていた。

先日の第一印象は最悪だったが、二度に渡って軽薄な態度を繰り返した事によって誤解が生じている。



翔にとって理玖という人物像はチャラい風貌だけでなく、中身も他の女に手を出しているような軽い奴だと思い込んでしまっていたが、理玖自身はそんな気など更々なく、いつもと何一つ変わらぬ様子で平和に過ごしている。