「クルちゃん、あいつってだぁれ?」
「おっ!お友達来たの?」
「えーっ、イケメンどこどこ?」
翔のコートから手を離そうとしない三人組は、不揃いにキョロキョロしながら次の獲物を探し始めた。
あいつ……。
彼女がいないならまだしも。
お前には勿体無いくらい可愛い彼女がいるクセに、何故わざわざ他の女に愛想を振りまくんだ。
これが奴の本来の姿なのか…。
最初は第一印象で全てを決めつけてはいけないと思っていた。
もちろん話し合いが主だったが、愛里紗が付き合う男だから奴には隠れた魅力があるんじゃないかと思って、今日はここまで来た。
愛里紗が一緒にいなければ尚更。
奴の本来の魅力が分かち合えるんじゃないかと思って期待していたのに……。
クルちゃんは癖毛の俺じゃなくて。
しつこくセクハラ行為をしてくる三人組でもなくて。
実は奴が本物の狂ちゃんなのでは…。
翔は根本的な考え方の相違からやるせない気持ちになり、震わせていた拳は力んだ事により血管が浮き出始めた。
今は遠目からキラリと光らせる理玖の白い歯ですら憎く感じている。