しかし、何度目を凝らしても、つい先日に見たばかりのあの人物に間違いない。
理玖を待ち構えていた翔にはまさかの展開に。
しかし、饒舌な暴走トークはまだまだ止まらない。
「サラちゃん、髪型変えたの?超かわいい。俺、ゆるふわ巻き好みなんだ~」
「…マジ?理玖が言うなら、もう一生髪型変えない」
「理玖、いつになったら私を彼女にしてくれるのぉ?」
「…そのうちね」
「瑞穂〜。私が先に彼女になるって予約したんだから」
「私だって、前々から予約してたんだからぁ」
「まぁまぁ、熱くならないで。俺は束縛が苦手なタイプなんだよねぇ」
「理玖ぅ。いつも忙しそうだけど、今日は遊べるの?」
「あーっ、ごめん!昨日だったら遊べたのになぁ……。めちゃくちゃ残念だけど今日も予定が詰まってるから、また今度誘ってね」
理玖は期待感を漂わせるような発言を繰り返して、誰にでも愛想を振りまいていた。
翔はそんな態度を目にした瞬間、口が塞がる。
「あ…あいつ……」
翔は強く握りしめていた拳が揺れ始めた。