すると、三人組のうちのリーダー格と思われる女の一人が、仲間の二人に向かって身振り手振りを加えて説得を始めた。



「沙由里、美波。イケメンって言うのはね、常に忙しいの。これ常識。果報は寝て待てって言うし、私達は黙って彼の待ち人を一緒に待てばいいの」



すると、仲間二人はあぁと言ったように頭を頷かせて互いの顔を見合わせた。



……は?
何言ってるんだ、この人は。



俺は妙な事態に巻き込まれそうな予感がして困惑していると、そのうちの一人が手のひらに拳をポンと叩いて勝手に閃かせた。



「そっかぁ!待ち人が現れたら一緒に遊べるよね」

「ひょっとして、すっごいイケメンの友達がここに現れたりして」

「…もしかしたら、これから来るのが彼女かもしれないよ」


「ないない!もし彼女なら、自分が通う学校の校門前で待ち合わせなんてしないよ」

「じゃあ、きっとイケメンの友達だよ。ワクワクしちゃうね。友達が来たらみんなでどこ行こうか」



俺は何も言っていないのに、話だけが先走っていくのは何故だろう。
先程断りを入れた事が無意味に感じた。



頼む……。
頼むから、俺を無視して早く帰ってくれ。
邪魔なんだ。

それに、理玖という奴が来たら更に格好の餌食に。