ひんやりと湿った空気が頬を触り、天気予報では今日の夕方からは小雪がチラつくと予測されていた。

口から漏れる息は、雲のようにほんのり白くて柔らかく、広がるように姿を消していった。
ツンと冷たい空気の感覚も鼻の奥に伝う。



ーー梅の花の蕾が膨らみ始めた二月上旬。

厚手のコートとマフラーに身に纏った翔は、理玖とマンツーマンで話をする為に、理玖が通う英神高校の前に姿を現した。






あれは、三日前。
駅で愛里紗を待ち伏せしていたら、偶然にも改札から愛里紗と手を繋いで出てきた男の顔を知る事に。

盗み聞きした話の内容からすると、奴はちょっと変わった性格の持ち主だという事がわかった。



俺は奴の本心が知りたかった。



鉄は熱いうちに打てと言うし、奴の顔を忘れぬうちに話し合いたいと思って午前授業の今日を狙って校門前で待ち伏せする事に。