翔はヤキモチを妬いてムスッとしながらも、理玖の特別な魅力を探る為に引き続き黙って二人の後を追った。
しかし、ふてくされている自分とは対照的に、二人の不思議な話は更にエスカレートしていく。
「俺、思ったんだけど、きっと宇宙人は俺を誘拐しに来たんだと思う」
「……は?何言ってんの。一体、何の目的で?」
「狙いは俺のDNAだな。俺のDNAを自分達の星に持ち帰って、宇宙人のDNAと俺のDNAを結合して新たな生命体を完成させるつもりだ」
「えっ?!……地球は大きいのに、何で日本にいる理玖のDNAをわざわざピンポイントで狙うのよ」
「そりゃ、顔がイイからに決まってんだろ」
「……それ、自分で言うかなぁ。理玖の話はいつもワールドクラスだからついていけないよ」
愛里紗は男の話に半分呆れ気味。
俺は正直男の話に言葉を失った。
あの男は恥ずかしげもなく容姿の自慢話をした上に、ワールドクラスのボケで愛里紗の気を引く作戦に出ているのか……。
しかし、さすがの愛里紗も男の異常な発想に若干引き気味だ。